尿路感染症とは
尿路感染症とは、腎臓や膀胱、尿道などの尿の通り道に細菌が感染して炎症を起こす病気です。膀胱炎や尿道炎、前立腺炎などが代表的な疾患です。
【膀胱炎】
膀胱炎とは、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気で、排尿痛、頻尿、残尿感などの症状が特徴です。
【腎盂腎炎】
腎臓内の腎盂や腎臓に細菌が感染して炎症を起こす病気です。
【前立腺炎】
前立腺に炎症が起きて排尿に関する症状を起こす疾患です。
【尿道炎】
尿が膀胱から体外に排出されるまでに通過する管である尿道に細菌などが進入し炎症を引き起こす感染症です。
■尿路感染症の種類

症状
【膀胱炎】
・排尿痛(特に排尿の終わりごろに痛みを感じることが多い)
・頻尿(トイレに行く回数が増える)
・残尿感(排尿しても尿が残っているような感覚)
・血尿
・尿の濁り
【腎盂腎炎】
・背中や腰の痛み
・熱(38℃以上が多い)
・頻尿、残尿感などの膀胱炎の症状
・吐き気や寒気、全身のだるさなどの症状
・尿の異変(濁った尿や血の混ざった尿)
【前立腺炎】
下腹部から会陰部、精巣、尿道に不快感や痛みが起きたり、頻尿や残尿感が発生します。排尿時や射精時に痛みを感じる場合があります。
【尿道炎】
尿を出すときに痛みがあったり、尿道から膿がでる場合があります。残尿感やお腹の痛み、尿の通過時に焼けるような痛みが起こることもあります。
原因
【膀胱炎】
膀胱炎は、尿道から膀胱へ細菌が侵入し、そこで繁殖することで炎症が起こる病気です。
【腎盂腎炎】
尿道の出口から侵入した細菌が尿路をさかのぼり腎盂に達する「上行性感染」が最も多いです。
【前立腺炎】
前立腺周囲の血流障害や自己免疫反応、前立腺内への尿の逆流、知覚過敏などの感覚神経異常等が原因としてあげられます。
【尿道炎】
尿道炎の原因は、細菌による感染です。性行為による感染(性感染症)が最も多いです。
診断
【膀胱炎】
膀胱炎の診断には、通常、尿検査が用いられます。尿検査では、尿中の白血球や細菌の有無、また潜血の有無などが調べられます。
【腎盂腎炎】
腎盂腎炎の診断には、問診、身体所見、尿検査、血液検査、画像検査などを行います。
【前立腺炎】
慢性前立腺炎の診断には、直腸診、尿検査、採血検査、細菌検査などがあります。
【尿道炎】
尿道炎の診断には、尿検査やPCR検査などを行います。
治療
【膀胱炎】
膀胱炎の治療は、細菌を殺菌するための抗菌薬(抗生物質)の内服が一般的です。
【腎盂腎炎】
抗菌薬による薬物療法が中心です。
適切なタイミングで、治療を行わなければ、細菌が血液中に侵入し、敗血症を引き起こすおそれがあります。
【前立腺炎】
慢性前立腺炎の治療には、薬物治療や生活指導、物理療法などがあります。
【尿道炎】
尿道炎の治療は、感染の原因菌に応じた抗菌薬などの投与が一般的です。